デジカメの画像を捨てない人には,2種類の人がいます。ひとつは横着で写真をただため込んでいる人。もうひとつは,大事にデジカメのシャッターボタンを押す人。
quote:色あせたスナップ写真が収められた箱が,米国のほとんどの家庭にはある。赤ん坊の写真,あなたが舞踏会に着ていった不格好な服装の写真,観光地の写真,など。だがデジタルカメラの簡単に押せる削除ボタンのせいで,この習慣は失われようとしている。現在,約5400万個のデジカメが使われており,デジカメは過去2年間フィルムカメラより売れている。デジカメの画像はハードディスクに保存されるが,遅かれ早かれコンピュータはクラッシュする。プリントされるデジタル画像は非常に少なく,写真は消えるだけだ。だがオンライン写真共有も爆発的人気で,ウェブショット・コムには毎日50万枚以上の写真がアップロードされる。しかし,簡単にみられて保存しておける写真は,尊い宝物だ。
「なんでフィルムのカメラを使い続けているの?」と訊くと,リンは「なんでだろね。デジカメも使ってるけど,なんか,やり直しが効かない感覚が欲しいのかな」と答えた。「デジカメは気軽に使えるもんね」と同意すると,「キコはフィルムでも気軽に取るから失敗が多いんだよ」と笑う。わたしが怒ってると,
「手ぶれしてる写真とか変な顔で写っちゃってる写真とかがプリントであがってくるとがっかりするけど,でも捨てられない。何年も経って,そんな失敗している写真の方が思い出深かったりもするし。不思議だね。あー,でもわたしだけかも。わたし,デジカメで撮った画像も全部保存してあるから」。「あっ,わたしもそうだ」と云うと「あんたのパソコンは画像が散乱していて,どこになんの写真があるかわからないけど?」「…ぅぅ。その通りです」「でもたぶん,捨てない気持ちはおんなじだよね。シャッター押すときの目をみてると,わかるよ」。
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